星野道夫さんの視線を通したアラスカの風景に触れたいと、ふと思うことがある。 心惹かれて手に取ったものの、大切に読もうと思うあまり積読になっていた星野道夫さんの『旅をする木』というエッセイ集を、味わうように惜しみながら読んだ。読み終えてしまうのがもったいなく
旅
雨を抱えて旅に出る—福岡、文学フリマの週末
深夜にご注文が入ったので、特典冊子を含めた配送セットを慌てて整え、一筆箋をバッグに押し込んで家を出る。出発の早朝6時、羽田空港へ。家を不在にするときは発送ができないし、出発前日夕方までの注文で受付を締め切るとお知らせするのはいつも出張の度にしてきたこと。雨
【神山町】古民家B&Bになった父の生家「横山酒店」をとうとう訪ねることにした
学生時代から今までの時間をかけて、ベッシー・ヘッドが最初に発表した1968年の作品『雨雲の集まるとき』を翻訳出版したことは、個人的にも多くの面で重要な意味をもった。そのひとつは、神山に関してだ。徳島県名西郡神山町といえば、ここ十数年で注目を集め、地方創生の成
山深い貴船神社の静けさとボツワナの神聖な丘
京都の貴船神社は、水の神様を祀り、古くから雨乞いの神事が行われてきた長い歴史を持つ神社だ。山深く、青緑の空気に静かにたたずむその美しさを捉えた写真を見て、いつか訪れてみたいと思っていた。神秘的で印象深いその写真は、自宅で利用しているウォーターサーバーの会
ニューヨークの9/11メモリアルとテロのない世界
2001年9月11日、スコットランドにいた。エディンバラ大学のアフリカ研究センターの修士課程に在籍中で、あと一週間で修士論文を提出しなければならない追い込みの時期だった。わたしは、大学の寮のフラットを二人のアメリカ人とシェアしていた。その日の午後、大学の寮の部屋
遠い日の記憶を溜める廃線を歩く〜碓氷峠廃線ウォーク
鮮やかな緑のなかにひっそりと闇をたたえる古いトンネル。使われない線路が吸い込まれていく静かな風景。SNSで流れてきたその写真を偶然目にした瞬間、これだと思った。この場所に行きたい。空気と静けさに浸りたいと。それは信越本線新線の横川から軽井沢へ向かう線路上を歩
土地に出会う旅なのか、過去の自分のかけらを見つけるのか
旅に出る理由は、誰かに会いに行くことだと言うひとがいる。その土地に会うべき知り合いがいるから行くのだと。それを聞いて、実に新鮮だと思った記憶がある。自分は何のために旅に出るのかを考えてみた。この9月には、しばらくぶりに旅らしい旅をした。仙台に高齢の祖母がい
【秋田・青森】念願の五能線の旅。雨雲の行方と旅の道連れ
昔から、ローカル線で行くスローな日本国内の旅に憧れがあった。一両か二両だけの列車で、時間をかけて田舎を行く鉄道旅だ。なんでも、秋田県と青森県に渡り日本海沿岸を走る五能線というのはそんなイメージにぴったりのローカル線で、かつ日本有数の絶景路線だという話で、
【ボツワナ】滑らかな水面を夕陽に向かってすべりゆく日〜オカバンゴデルタへ
心の中に住みついている夢とも現実ともつかないような風景。心象風景と言ってしまうと、誰かに作られた言葉にあっさりと閉じ込められて実際の感触から離れるように感じてしまうのだが、それはもっと現実のそばにあって、でもつかみどころない色合いのような気配とでもいうべ
あのひとに会いに波浮港(はぶみなと)へ行った
「お休み」に入ってから文章を書くことがほぼなかった。いつも大量生産マシンのごとく書き続ける自分に、今の今までそんな時期はなかったんだと思う。そんな「お休み」がひと月半以上続き、完全に休みにしていたのがうまく働いたのだろうか。静かなマインドの中にぽつんとし









