最近の日本政府の動きを見る度に、ジンバブエ政府のことを思わずにはいられない。
90年代末からの30年余り、白人農場主の土地を強制接収した農地改革を始め、都市部の強制排除、メディア規制、政治活動を制限する法律の制定などを通じて、政権は権威主義的な性格を強めていった。
2005年から2007年までの二年間を首都ハラレで過ごしたが、世界最悪のハイパーインフレと政治的緊張の高まりで、国民生活は困難を極めていた時期だった。
当時のジンバブエには、AIPPA(情報アクセスおよびプライバシー保護法)、POSA(公共秩序・治安法)などの法律があり、報道や政治活動への統制が強められていた。
「秩序回復作戦」と呼ばれた政府事業では、野党支持者の多い都市部の住居やインフォーマルな露店が大規模に撤去され数十万人が家と仕事を失った。情報、政治、そして人々の生活空間にまで統制の手が及んでいたのである。
90年代末からの30年余り、白人農場主の土地を強制接収した農地改革を始め、都市部の強制排除、メディア規制、政治活動を制限する法律の制定などを通じて、政権は権威主義的な性格を強めていった。
2005年から2007年までの二年間を首都ハラレで過ごしたが、世界最悪のハイパーインフレと政治的緊張の高まりで、国民生活は困難を極めていた時期だった。
当時のジンバブエには、AIPPA(情報アクセスおよびプライバシー保護法)、POSA(公共秩序・治安法)などの法律があり、報道や政治活動への統制が強められていた。
「秩序回復作戦」と呼ばれた政府事業では、野党支持者の多い都市部の住居やインフォーマルな露店が大規模に撤去され数十万人が家と仕事を失った。情報、政治、そして人々の生活空間にまで統制の手が及んでいたのである。
国際社会から独裁政権と評され、経済制裁を受けてきたジンバブエ政府は、農地改革、メディア規制、集会規制、「秩序回復」などをさらに進めていった。
対象も目的も異なる法律や政策は押し並べて「秩序」「安全」「国家主権」「改革」「公共の利益」といった言葉をまとっていた。
当然、政府は「自由を制限します」「権力を強化します」と語ることはない。
制度とは、基本的により望ましい社会を実現するためのものとして語られるからだ。
だからこそ、裏を返せば制度をその制度自身の言葉で理解してはならない。その制度によって、誰が力を得るのか、誰が排除され声を失うのか、社会がどちらの方向へ向いていくのかを見極めることは緊要だろう。
誰のための制度なのか、何を可能にして何を不可能にしてしまうのか。その問いを持ち続けることが求められていく。
日本政府が進めているスパイ防止法(情報漏洩や諜報活動への対策強化)、国家情報機関の整備構想(情報収集・分析機能の強化)、緊急事態条項(危機時における政府権限の拡大)、安全保障強化政策(防衛力増強や軍事能力の拡充)などの議論では、安全保障や国益、国防、危機管理、抑止力、国家の安全といった言葉が使われる。
私には、かつてジンバブエで繰り返し語られた言葉と重なって聞こえる。これらの言葉が前面に出てくるときこそ、警戒心を持ってみなければならないだろう。
法律は常に正しいとは限らないというごく当たり前のことを、ジンバブエや、もちろん我が国をはじめとした多くの国の歴史が教えてくれている。制度が国民の自由を広げてくれるのか、それとも狭めるのか。
「安全」「秩序」「国益」といった言葉が使われるときこそ、そこに隠れている本質を見極めなければならない。
その制度が何をもたらし、誰から何を奪うのかを見続けること。その解像度を失わず、必要であれば声を上げる。それが民主社会を生きる私たちに求められているのではないだろうか。

ハラレのSocial Security Centre Building。当時のオフィスがあった。
UnsplashのCarlos Kankhungwa
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