新刊の準備を進めている。今日もある程度作業をした。前作に続き、南アフリカ/ボツワナの作家ベッシー・ヘッドの作品だ。

雨雲出版は、『雨雲の集まるとき』の翻訳出版をきっかけに設立されたが、まずは大本命だった作品の出版を実現させたので、次のステップへ進むことは以前から決めていた。

基本的には、自ら翻訳して、編集者や有識者等とのやり取り・調整、校正・校閲、デザインや印刷製本などの制作、そして流通販売、広報活動まで。専門的・技術的な部分は多くの方の協力を得るものの、作るところから売るところまで基本的にはひとりだ。自分ではこれを、ひとりバリューチェーン出版業と呼んでいる。

本来であれば、このやり方は膨大な時間と労力を伴うので、持続可能なモデルとは言えないだろう。しかしながら、「出版業」をするために雨雲出版があるのではなく、今届けるべき本があるからやるのだと考えている。いくつかの本づくりのプロジェクトを企画しているが、それらを一通り終えるまでは「出版社とは何か」のようなことは考えないつもりだ。

長年、やれないだろう、できないだろうと無意識に思い込んで過ごしてきた。だからこそ、それらのプロジェクトを「やる」ところへ持っていきたいのだ。現代社会に少しでも貢献できる、必要なことだと思っているから。

今、世界では凄惨な戦争が現在進行形で続いている。拗れた外交関係の中で日本は危うい立場に置かれ、武器の輸出や改憲など、平和とは逆方向へ舵を切ろうとする動きもある。弱者を切り捨てかねない政策、陰りつつある経済、近い将来への具体的な不安——そういったものが、人々を取り巻いている。

デモや声明など、あらゆる手段で声を上げる活動は日を追うごとに広がっている。短期的には、どうあっても戦争を止めるために動くことが何より重要だろう。

だが、同時に本という形にすることも重要だと思う。

本は、静かでスローなメディアだ。でも、世界を変えるほどの強い力がある。時代に必要とされる言葉を本という形に記録し、世に出し、人々に届けること——それを怠ってはならないと思う。

世界を少しでも良くするために。


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↑ベッシー・ヘッド『雨雲の集まるとき』に向けてやってきた活動や目標など何でも書いてある「ベッシー・ヘッド・ノート」詳しくは以下の動画の後半部分で。




エッセイ100本プロジェクト(2023年9月start)
【81/100本】