昨年11月に手術を受けた。
病院のベッドで思いついたのがこの本を書くことだった。




婦人科(現在では、女性科・女性診療科のような呼称に変えている病院も)の治療で悩み、手術を提案され悩み、薬の副作用で翻弄され、辛い思いをしてきた経験を、分かち合うことができたら。

似た経験をしているひとたちの体験談で、せめて少しでも孤独や辛さが癒され、気持ちが楽になるのなら。

もともと自分自身の体験談はエッセイ化しようと考えていたが、それだけでなく、SNSでつながった仲間たちの大切な話が形になれば、ひとりの話よりもずっと深い内容が、より多くの方に届けられるのではと考えた。

開発コンサルとして、アンケート調査で方向書を書くのは長年やってきたのですぐできる。
そして、自分は雨雲出版という出版レーベルを立ち上げた。

さらには、自分自身が治療・手術の当事者であること。

このあたりのバックグラウンドは過去記事やYouTubeにもアップしてある。






本を出してから、「早くこの本に出会いたかった」など嬉しいコメントをたくさんいただいていて、本当に形にしてよかったと思う。

わたしも、子宮全摘という大きな決断をするまでに紆余曲折あったし、簡単なことではなかったから、それを記録してシェアしたいと思っていた。

少しでも誰かの役に立つと嬉しい。

本文からいくつか引用する。わたしが言いたいことはわりと凝縮されているかな。



病気による孤独は消えることはない だろう。ただ、少しでも孤独を癒せる人がいるとすれば、 それは病気を持つ人間の気持ちに共感することのできる、似通った境遇を経た存在 なのではないだろうか。


世の中の多くの女性が、貧血に悩まされているだろう。 しかし、日々を忙しく過ごす中で、だるさ、ふらつき、めまいが日常になってすっかり普通のことになっていないだろうか。ここで自分の反省をこめて言いたい。だるいということは、何かしらの要因があるということです。


過多月経や痛みなど、生理をめぐる苦しみは長年わたしを悩ませていた。
まるで、解けない呪いを背負っているかのようで、文字通り生活の中でずっと生理のことばかり考えて生きてきた。身体の不調も永遠につきまとう生理の不安も、気づけばそれが当たり前のように年月を過ごしている。


でも、この時、強く思ったことがある 。クリニックの医師が、四角四面に「できることはない」と 冷たく突き放すことがなく、レルミナ錠の服用停止時における 生理再開までの期間について、たったひとことでも参考までに教えてくれたら、どれほど気が楽だったろう。不安のなか暗たんたる気持ちで電話を切り、アフリカからの電話代と診察料まで取られるなんて、生理のつらさに輪をかけて苦しみを増強しているだけではないか。

「子宮全摘の可能性を提案されて迷っています」わたしは、いちばん言いたかったことばを何とか口にした。 全摘はマストではないことはわかっている。それでも取った方が今後のリスクも軽減され、数々のつらかった症状もなくなることもわかっている。だけど、その決断に至るまでに自分を後押しする何かが欲しかったのだ。しか医師はマスクの中で半笑いながら言った。「子宮を取るのに何か問題でもあるんですか」


当然ながら、臓器は切除すれば勝手に元に戻ることはない。ひとりにつきワンセットオンリーだ。生命を維持していく上で何よりも大切なものだ。 だからこそ、たとえ医師であっても、治療に関する提案はしても、他者の身体に関する最終決定権があるわけではない。人間、病気を指摘され患者になれば気持ちも落ち込み、不安で弱気になってしまうことも大いにあるだろう。でも、だから 他者に決定権を委ねていいことにはならない。


いくらそのような態度を取られようとも、緊急性の高い患者と比較されようとも、それは医 師側の都合でありわたしには関係がない。わたし自身のことは自ら納得のいくまで情報を集めて決めたい。だから、医師の態度ひとつに振り回される必要はどこにもないのだ。もし、わたしが経験したのと同じような医師の態度で落ち込んでしまった人がいたら、どうか自分が悪いとは思わず諦めないで他の医療機関に相談してみてほしい。


医師は、患者に寄り添って心の ケアまできちんと考えることがわれわれの仕事だからとまで言ってくれた。突き放し見下すような言葉を投げた最初の医師とは対極的な態度だ。胸のつかえがとれたようだった。結果としてこの電話が、それまで呪いのように心にのしかかっていた錘を解き放ってくれることになったのである。



これまでずっと生理のことばかり考えて生きているようなものだった。体調不良ばかり生きているようなものだった。 おしゃれな温泉旅館の写真を見ても、お出かけの予定を考えていても、必ず生理のことで気が重かった。ほぼそればかり考えていた。なんてもったいない人生なのだろう。その独白めいた思いを聴いたセカンドオピニオンの女性医師は 、少し同情するような顔で優しく言った。「どうぞ、もう楽になってください」


本の後半は、できる限り32名の回答者の文章をそのままに掲載している。
それぞれの思いやメッセージをくみ取っていただければと思う。




PDF版は雨雲出版のページから




なお、来る2024年5月19日(日)に文学フリマ東京38に雨雲出版が出店します。

本書の印刷版は少部数だけ持っていく予定です。

必要としているひとに届く、心に寄り添う本になっているかなと思います。
ご感想もいただけたらうれしいです。



SHIRI本表紙 (1)



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