仕事でご一緒しているひとと、ミーティング後にたくさんしゃべった。
レバノンからイラクに移住してきたひとだ。

オンラインミーティングで中東諸国の先進的なスタートアップ連携の取り組みについて実に面白い情報を聞いたテンションのまま、会議後に色んな話をした。

中東のひと、とくに仕事関係で知り合うことがけっこう多いが、基本的には下手に政治的な話はしないように意識している。

でも、ひとたび仲良くなって、相手がオープンマインドなことがわかっていると、もう何でも聞きたくなっちゃう。

コンサルタントとして、案件に直接関係のない(ないこともないけれど)政治・経済・社会・文化の深いところまで、ひとまず報告書を仕上げるのなら必要ないといえばそうなのだけれど、わたしの中の好奇心はおさまらないのだ。

とくに自分の中のベリーダンサー魂は、中東社会・文化への興味が尽きない。飽きない。いくらでも知りたい。



レバノンの経済状況は悪化していて、多くのひとが国を去っている。
彼のケースは、たまたま仕事の都合でイラクに来てそのままイラクに移住することになったということだけれど、レバノンの社会経済状況の苦しさを嘆いている。
もう随分戻っていないそうだ。


あまり考えたことがなかったのだが、イラクには仕事を求めて移住してくるひとも少なくないそうだ。


センシティブな話題なのでこれまで触れなかったけれど、イラクにおけるクルド系のひとの社会的立場などについてもいろいろストレートな質問をした。
外国人である彼だからこそ、見えてくることもある。

クルド人とひとことでいっても、トルコ系もイラク系もいるわけで、おかれた社会経済状況も違うだろう。

でもチームのメンバーにクルド系のコンサルタントが一人いて、彼女のことについて聞いてみたかったのだ。
ミーティングのとき、わたしはクルドだから、と彼女がひとこと小さく言ったのが心にひっかかっていた。
他のメンバーは気にならなかったのか完全スルーしていたけれど、わたしにはそれがイラクの民族間の関係性を表す重大なステートメントに思えたのだ。


だから、チームリーダーの彼にこっそり尋ねてみた。

オープンマインドな彼の意見としては、まだまだ社会には保守的なひとが多く、いわゆる「少数民族」(ざっくりとした言い方だが厳密にはもっと注釈が必要だな)の立場として、そこまで自分の民族性をわざわざ前面に押し出す必要もないということだった。

我らの誇り高き文化として自負することはいいが、それが逆に内向きな文化への関心(つまり他者を容認しない、あるいは排除しかねない)に繋がっていれば、結局は分断を促進してしまう。

どの民族であれ、我らが我らがと主張すればするほど、対立も深まってしまうだろう。


彼は、小学生の娘さんも地元の学校ではなくインターナショナルスクールに通わせているそうだ。
高い学費を払ってでも、多くの国のひとが集まるオープンな環境で学ばせ、様々な文化や芸術にも触れさせたいそうだ。


開発コンサルタントの仕事をしていて、エリートや先進的な考えをもったひとに接することがとても多いのだけれど、結局どこの国でもわりと大多数は保守的な考えを持っていたり、分断につながりかねない思想に気づかず暮らしているのかもしれないといつも少し虚しく思う。

だからこそ、たとえ少数派だったとしても、オープンマインドであることを貫き生きていかなくては、何か巨大な社会文化的な力に飲み込まれてしまうのかもしれない。


作家ベッシー・ヘッドも、作品のなかで同様のことを描いている。
彼女も、南アからボツワナにやってきた「外国人」だからこそ見えることがたくさんあったわけだ。



仕事のミーティング後に長々と喋ってしまったけれど、レバノン出身のそのひとの考え方や生きてきた人生など深い話が聞けて、何より貴重な時間だったなと思う。
わたしも自分自身がベリーダンサーであることをようやく話した。普段は仕事先のひとに伝えないのだ。

それで中東社会や文化に尽きない興味関心があることも話した。
お互いのことを、また少し知ることができた良い時間だ。


この仕事をしてきて、いつもいちばん印象的なのは仕事ミーテイング以外のお喋りの場で話したことだったりする。そこに、人生の深いヒントや国を知るきっかけが隠されている。


貴重な機会を得られることに感謝だなと心から思う。


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時差があると、どうしてもFar Eastなジャパンは夜遅くなってしまう…。

今日もベッシー・ヘッド作品の翻訳チェック作業はできなかった。

体調がすぐれないので夜更かしはしたくないため、がんがんやり進めたいのをぐっと我慢して、じっと作品とベッシーの顔を見る。



おやすみなさい。


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南アフリカの作家ベッシー・ヘッド(1937-1986)の紹介をライフワークとしています。
(詳しくはこちら)

■作品の翻訳出版に向けて奔走しています。
■作家ベッシー・ヘッドについてnoteで発信しています。
note「ベッシー・ヘッドとアフリカと」
note「雨雲のタイプライター|ベッシー・ヘッドの言葉たち」

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