燃え殻さんのご著書を2冊一気に読了した。
いずれもエッセイだ。
どれも印象的で絶妙で、ささっと沁みてくるようなテーマで気に入っている。
ただ、読了後、心に引っ掛かることがあったのでそのことだけ書いておきたい。
わたしは、燃え殻さんのツイッターもファンだし、ラジオも大好きだ。
燃え殻さんの繊細な視点、心に引っ掛かった記憶。
そして、他人への優しさ。
そんなものが絶妙なのだ。
今日、最近文庫化された『すべて忘れてしまうから』を読んでなんとなく何がわたしの心にひっかかったのかがわかった気がした。
文章と、語りは違う。
文字には息遣いも表現の限界があるし、受け取り手によって解釈も変わる。
そんな中で、このエッセイはうまくまとめられていると思うのだけれど、どこか燃え殻さん独特の「哀しさ」「情けなさ」と、それと混ぜ合わされた文章をスパッと終わらせてしまう「スタイリッシュさ」のバランスが、何か異物的なスパイスのように強い気がしたのだ。
エッセイには、ラジオで燃え殻さんが話していたのと同じ話も入っていた。
でも、ラジオであの優しい声と言い淀むテンポ感、ひとつずつ言葉を選んだり、早口になってしまったりする独特なペース。
そして、そこに込められた何よりも大切な燃え殻さんの優しさ。
そういう音楽的なバランスが、大部分排除されてしまったように感じてしまった。
限られた紙面の少ない文字数で同じ情報と感触を伝えるのは難しいことだろう。
でも、どうしてかはわからないけれど、でかい裁ちばさみでざくざくと話を切り落とし、音響ミキサー卓に座って誰かが、「哀しさ・情けなさ」×「スタイリッシュさ」のところのボリュームをここぞとばかりに上げてしまったような気がした。
何か、中身がばらばらと逃げてしまった印象を受けた。
それはもしかして、編集者というひとが入ってしまったからなのだろうか。
それとも燃え殻さん自身のやったこと?
そこはわからない。
でも、声で伝わってくる話と文章とはこんなに違うのだなと。
これだけスタイリッシュに切ってしまったら、キャッチーにはなるだろう。
そして、そういう目立つものを好む読者には好かれるかもしれない。
シャープなものは、柔らかなものよりも、一般的には受けがいい。
でも、個人的にはスタイリッシュなものよりも、燃え殻さんの言い淀む優しさと独特のテンポが欲しかった。そんなことを思う。
本を出版するってそういうことなのかな。
そう思うと、わたしもたくさん文章を書く人間だけれど、音声でも何かを残しておきたくなった。
燃え殻さんのラジオは本当に好き。
南アフリカの作家ベッシー・ヘッド(1937-1986)の紹介をライフワークとしています。
(詳しくはこちら)
■作品の翻訳出版に向けて奔走しています。
■作家ベッシー・ヘッドについてnoteで発信しています。
⇒ note「ベッシー・ヘッドとアフリカと」
⇒ note「雨雲のタイプライター|ベッシー・ヘッドの言葉たち」
==
■ Amelia Oriental Dance (Facebookpage)
■ 『心と身体を温めるリラックス・ベリーダンス』
■ Rupurara Moonアフリカンビーズ&クラフト
↓更新通知が届きます
いずれもエッセイだ。
どれも印象的で絶妙で、ささっと沁みてくるようなテーマで気に入っている。
ただ、読了後、心に引っ掛かることがあったのでそのことだけ書いておきたい。
わたしは、燃え殻さんのツイッターもファンだし、ラジオも大好きだ。
燃え殻さんの繊細な視点、心に引っ掛かった記憶。
そして、他人への優しさ。
そんなものが絶妙なのだ。
今日、最近文庫化された『すべて忘れてしまうから』を読んでなんとなく何がわたしの心にひっかかったのかがわかった気がした。
文章と、語りは違う。
文字には息遣いも表現の限界があるし、受け取り手によって解釈も変わる。
そんな中で、このエッセイはうまくまとめられていると思うのだけれど、どこか燃え殻さん独特の「哀しさ」「情けなさ」と、それと混ぜ合わされた文章をスパッと終わらせてしまう「スタイリッシュさ」のバランスが、何か異物的なスパイスのように強い気がしたのだ。
エッセイには、ラジオで燃え殻さんが話していたのと同じ話も入っていた。
でも、ラジオであの優しい声と言い淀むテンポ感、ひとつずつ言葉を選んだり、早口になってしまったりする独特なペース。
そして、そこに込められた何よりも大切な燃え殻さんの優しさ。
そういう音楽的なバランスが、大部分排除されてしまったように感じてしまった。
限られた紙面の少ない文字数で同じ情報と感触を伝えるのは難しいことだろう。
でも、どうしてかはわからないけれど、でかい裁ちばさみでざくざくと話を切り落とし、音響ミキサー卓に座って誰かが、「哀しさ・情けなさ」×「スタイリッシュさ」のところのボリュームをここぞとばかりに上げてしまったような気がした。
何か、中身がばらばらと逃げてしまった印象を受けた。
それはもしかして、編集者というひとが入ってしまったからなのだろうか。
それとも燃え殻さん自身のやったこと?
そこはわからない。
でも、声で伝わってくる話と文章とはこんなに違うのだなと。
これだけスタイリッシュに切ってしまったら、キャッチーにはなるだろう。
そして、そういう目立つものを好む読者には好かれるかもしれない。
シャープなものは、柔らかなものよりも、一般的には受けがいい。
でも、個人的にはスタイリッシュなものよりも、燃え殻さんの言い淀む優しさと独特のテンポが欲しかった。そんなことを思う。
本を出版するってそういうことなのかな。
そう思うと、わたしもたくさん文章を書く人間だけれど、音声でも何かを残しておきたくなった。
燃え殻さんのラジオは本当に好き。
南アフリカの作家ベッシー・ヘッド(1937-1986)の紹介をライフワークとしています。
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