以前から、あるひとがこの方の文章をお薦めしていたので、いつかフィクションを読んでみようとは前々から思っていた。

そうしたら、しばらく前なのだがたまたまある翻訳家の方がツイートで柴崎友香さんのこの本について書かれていたのが目に入った。

公園へ行かないか? 火曜日に
友香, 柴崎
新潮社
2018-07-31



これはフィクションではなくて、柴崎さんが2016年に米国はアイオワ大学のInternational Writing Programに参加し3ヶ月ほど米国滞在したときのことを綴ったエッセイを集めたものだ。

世界各国から活躍している作家などを招聘し、大学の施設で3ヶ月を通して様々なワークショップやイベント、セッションなどを通じて交流し、それぞれの学びと経験を深めていくプログラム(と思っているが)で、1969年から毎年開催されている。



アイオワ大学はクリエイティブライティングで有名とのこと。

アイオワ大学のライターズプログラムといえば、作家ベッシー・ヘッドが招待され1977年に参加したプログラムだ。

柴崎友香さんも同じプログラムに参加されていたとは知らなかった。

ここに、1977年当時の参加者名が書かれている。



ベッシーは、南アフリカからパスポートがもらえなかったために出国許可証のみで1964年ボツワナに亡命、それ以降ボツワナに滞在し、作家として名前を知られるようになるまでに何年にもわたり亡命者としてボツワナの市民権も与えられずに暮らしていた。

当初、作家として海外に行くようになり特別な旅行許可(パスポートがないので)を得て旅していたようだが、やがてボツワナの市民権をもらう。

最初、ベッシーのことを誰も知らなかったアイオワでのイベントは、ベッシーにとってあまり心地の良いところでなかったとG.S.アイラーセンによるベッシーの伝記には書かれている。

でも、彼女自身、"Some Happy Memories from Iowa"と題したエッセイにも、当時やり取りしていたさまざまな人との書簡のなかにもアイオワでの話を色々書いていて、彼女にとっては大切な経験ではあったのだろうと思っている。

ボツワナってどこ?みたいな周囲の反応とか、イギリス英語を話すベッシーが、米国のお店で「消しゴム」を買おうとしてrubber(=コンドーム)くださいと言ってお店の人に困惑された話、大学の図書館ひとつとっても巨大で驚いた話など、彼女の様子が目に浮かぶようだ。

その後、ベッシーはいくつものブックフェアやライターズフェアなどに呼ばれ、デンマーク、ドイツ、ナイジェリア、タスマニアなどあちこち旅している。

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柴崎友香さんのエッセイは、比較的日記ふうに淡々と書かれていて、その中にご自分が感じられたことが鮮やかに描かれていて(英語力がついていけないこととか)、自分自身もそのプログラムに参加しているかのような気持ちにさせてくれる。

どんなワークショップに参加したとか、どんな参加者がいて一緒にイベントに出たとか、上映会があった、朗読があった、などなど。

柴崎さんなりの考え方、気づきがたくさんあって、思うところもいっぱいあった。

ベッシーは1977年で柴崎さんは2016年だから、きっとアイオワ大学のプログラムもずいぶん変わっているところもあるとは思うけれど、それでもわたしはベッシーの伝記や、本人が書いた短いエッセイ、書簡などからしかプログラムの様子を知らなかったので、この本を読んで自分が追体験させていただいたような気になった。

このプログラムは、その国で活躍している選ばれし作家さんなどが参加するのだと思うけれど、こんなに盛り沢山の時間を三ヶ月も過ごしたら、人間の厚みが増すくらいのすごい体験ができちゃうかもしれない。

なんて、妄想している。
アメリカ、行きたいな。


柴崎さんのエッセイについては、ニューオリンズやニューヨークを旅されたこと、言語についてなど様々な話が盛り込まれていて、それについても感じたところを書いておきたいと思った。
が、長くなるのでまたいずれ。


今度は、柴崎友香さんのフィクションをとても読みたくなった。


↓G.S.アイラーセンによるベッシー・ヘッド伝記"Thunder Behind Her Ears"より
 下の写真が、1977年にアイオワ大学のプログラムに参加している時のベッシー。

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公園へ行かないか? 火曜日に
友香, 柴崎
新潮社
2018-07-31






南アフリカの作家ベッシー・ヘッド(1937-1986)の紹介をライフワークとしています。
(詳しくはこちら)

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note「ベッシー・ヘッドとアフリカと」
note「雨雲のタイプライター|ベッシー・ヘッドの言葉たち」

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