5月14日(土)

車がサラエボに到着する。
オールドタウンに入ると、途端にその独特の雰囲気に飲み込まれてしまった。
車も通れない細い小道、小さな建物たち。
モスクのミナレット。

そこは、サラエボの他の地域ともまるで雰囲気が違う異国のようでもあった。
まるで小さなトルコのような雰囲気だ。(といったら語弊があるかもしれないが、わたしはそう感じた)

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ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボで、オールドタウンと呼ばれる地域は、どうも最古の地域というわけではないようだ。

その歴史は、15世紀のオスマン帝国時代にあったマーケットのようだが、その趣のある表情がありし日の街並みを思わせる。

最も目につくのは、巨大なモスクの存在だろう。
大きすぎて写真取り損ないました。

その風情のある街並みに、小さなカフェやレストラン、お土産物屋さんが並ぶ。

一際目を引くのは、通りを一本入った小道の空気だ。
思わず足を止めて引き込まれてしまうくらいに風情のあるお店たち。

それは、アクセサリのお店だったり、おじさんがひとり古い足踏みミシンに向かうテイラーだったり、小さなお家をかたどった可愛らしいアート作品のようなお土産物が並んでいたり。

観光客が多く行き交う通りよりもずっと静かな細い道では、まるで物語の中に引き込まれてしまったかのような空気が流れていた。

観光地化された古い街というのは世界中に多くあるだろう。
でも、ふとした片隅に、こうして昔ながらの表情が残るところを見つける。
それが、長い歴史の1ページと、そこに代々暮らしてきた人たちの生活の気配と、ストーリーを感じさせてくれる。

そんな、思わずはっとするような瞬間が、旅の醍醐味かもしれない。

それは、ひとり旅だからこそ感じられることのような気もするのだ。

これは出張だけど

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↑これ、テイラーさん(笑)暗くて見えない。物語の中から出てきたみたいなおじさん。古い店。地元民のなじみなのだろう。これは明らかに観光客向けではない。

たまたまグローバルホテルチェーンのホテルが満室で、アシスタントさんがオールドタウンに宿を予約してくれたのだけれど、これが大正解だったように思う。

大きなホテルのあるエリアでは、サラエボのこんな表情は見られなかっただろう。
小さなブティックホテルのちょっとだけ屋根裏っぽい雰囲気のある部屋はわたし好み。
これだけでサラエボを気に入った。

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街歩きにも最適だった。

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夕食は、仕事関係の人と落ちあうことができたため、地元のレストランへ。

コンサルタント仕事に関しても有意義な話ができたし、食事は美味しくいい感じ。
この出張では1ヶ月以上ずっと一人で行動していたのだけれど、たまにこういう時間があったのは本当に貴重だった。ずっと誰かと一緒にいるよりは、これくらいがちょうどいい。

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オールドタウンにはシーシャ・バーも多く見られ、若者たちがくつろいでいる。

5月の日差しはすでに暑く夏のようだったが、観光客で通りは賑わっている。

バニャルカからサラエボへ移動し、翌日はまた移動だったためこの日は少し余裕があった。
ホテルで若干の仕事をした後、オールドタウンを少し散策する時間もとれたことが有難い。

出張だと、わざわざその場所に行っているのに観光や散歩すらできないで泣く泣く帰ることも少なくないから。
だから、今回はラッキーだったかなと思う。感謝だ。


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こうして街を歩くことで気づくことはたくさんある。

ムスリムの人が多い地域なのかなとは思うが、大きなモスクがある一方でオーソドックス教会なども見られる。
ヒジャブの女性もそれほどたくさん見かけなかった。

この国は、いろんなものが共存しているのだ。


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↑コーヒーショップのお兄さん。わたしが胸につけていたアクションカメラのinsta360go2に興味津々。YouTuberさんだった。自分もそのカメラ買う!って早速スマホでチェックしてた。いい出会い。

サラエボという街は、もちろんボスニア紛争で多くのエリアが壊滅的な打撃を受けた。
今でも、爆撃を受けたまま崩壊しそうな建物や銃弾の後らしきものが残る建物が散見される。

でも、ドライバーさんによると、ほんの数年前よりは随分よくなったそうだ。
多くの建物が立て替えられたり、修繕されたりしてほぼ復興してきたという。
随分長い年月を要したのだろうな。

この地域は、オスマン帝国やオーストリア=ハンガリー帝国など、多くの民族や宗教が入り乱れて支配し、無数の悲劇的な歴史を経て今に至っている。

現在でこそ、平和的で治安も良く、観光客も多く訪れているボスニア・ヘルツェゴビナ。

でも、オールドタウンのような場所を歩くと、歴史の流れのようなものを肌で感じることができる。

街を歩き、その歴史や空気みたいなもののかけらが、自分の身体に染み込んでいくような感覚がある。
そこだけ特殊に切り取られたような時間。

一人だからこそ、感じる醍醐味なのかもしれないなとつくづく思う。

この翌日は、飛行機でわざわざイスタンブール経由で北マケドニアのスコピエへ飛んだ。
この地域は隣接した国へのフライトがあまり便利ではなく、非常に遠回りをするか陸路のどちらかなのだ。

==続く…==

(写真は限られているのですが、動画は結構撮りました。編集できたらYouTubeにアップします)

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南アフリカの作家ベッシー・ヘッド(1937-1986)の紹介をライフワークとしています。
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