5月初めに日本を出発して1ヶ月近く西バルカンを回っている。
このコンサル仕事の出張は簡単に言うと中小企業支援関係で、対象国は複数にわたる。
この先も数回続く予定だ。
今は、北マケドニアのスコピエのカフェに座っている。
日中は真夏のように暑いスコピエだがオープンテラスのカフェで多くのひとがリラックスし、季節を楽しんでいる。
この1ヶ月近く、ボスニア・ヘルツェゴビナ(ボスニア連邦とスルプスカ共和国の二つ)、北マケドニア、モンテネグロ、セルビアを周り、再び北マケドニアに戻ってきた。
今回の出張はここが最終滞在地で、約一週間仕事をしたのち帰国の予定だ。
本当は、時系列でひとつ一つの出会いと出来事について丁寧に辿っていきたいのだが、当然だが仕事はもちろん移動の慌ただしさも相俟って、しばらく書かずに言葉だけが溜まってしまった。
今、このひと月余りの終盤ということで、心がこれまで感じた無数の思いを一つの物語のようにまとめ始めたような気がして、どうしても各々のディテールよりも先にこのような気持ちを書いてみたくなったのだ。(ちょいと抽象的でごめん)
仕事の中身のことはいつもブログには書かないので(こちらも心動かされること、感動と学びが山盛りだが)、ここでは個人として感じていることのみ。
↑スコピエのアレキサンダー大王。ひたすら大きい。
この辺りの国々はもちろん旧ユーゴスラビア連邦だった地域だ。
現在では国境が引かれているこの地域は、民族的(というよりも宗教色が強いが)な複雑さもまだうちに抱えている。
ユーゴスラビア紛争は多くの街を破壊し人々の犠牲を出し、30年が経った今でも爪痕が残っている。
この地に初めて来て多くの人に会ったけれど、それぞれが個人的な記憶としての戦争を心の中に持っているのを感じている。
今では国が分断され、人口も経済規模も小さくなってしまった西バルカン辺りの国々で、印象的だったのは「それでもユーゴスラビア時代の方がよかった」という言葉だ。
この滞在中、仕事関係のひともそうでないひとも本当に多く話をしたが、似たような言葉を複数のひとから聞いたのは意外だった。
現在の不安定な経済、深刻な汚職、労働力の国外流出などの共通の課題を抱えた国々にとっては、たとえユーゴスラビア社会主義連邦時代に多くの不自由を経験してきたとしても、その方が良かったとまで言える状況なのかもしれない。
世界は、進展しているようで後退している部分もあるのか。
ここで生きている人々の言葉や、街の様子、生活の様子に触れてみて初めて、それらの言葉が身に迫ってきたような気さえしている。
来てみなければ知りえなかった感覚だろう。
それでも、この地で出会う人々の親切さ、優しさが身に沁みる。
民族関係(宗教関係)はずっと複雑でくすぶっているけれど、そんな諸々を心に抱えた個人としての人々は本当に優しかった。
人のパーソナルストーリーを聴くことが、わたしはとても好きだ。
個人としてその人はどんなことを経験しどんなことを思い、どんなことに愛情を注いで生きているのか。そういうストーリーを聴くと、引き込まれてしまう。
この出張の間だけでも、直接の仕事相手である対象国のカウンターパート機関はもちろん、現地アシスタントやドライバー、出会った数々のひとと膨大な会話を交わした。
それはどれも貴重で、こんなに人との会話の貴重さを毎日ありがたく感じる日々はなんと贅沢なのだろうと思う。
誰かのストーリーがそれぞれ薄いベールみたいな層のように心に積み重なり、わたしはそれをほんの少しずつ肌から吸収していくことで、自らを豊かにアップグレードしていくような、そんな感覚がずっとある。
人々の言葉、記憶、思い。
美しい風景、街の景色。戦争のあと。
それらすべてから、わたしは何かを吸収し続けてきた気がする。
言葉は限定的で、文字に落とした途端ほんとうに小さな断片となってしまうけれど、それでも何物にも代えがたいこの貴重で豊かなもののほんの少しだけでも、形にできたらと思っている。
移動も多く仕事の議論も難題が多く、体力的にもずいぶん疲れてきてしまったのだけれど、心は豊かになっていく気がして、最後には感謝しか残らない。
そんな気持ちでいる。
そんな個別の話は、これから少しずつ書くとして。
明日から一週間は、今回の出張のクライマックス。
これで今回は一区切りだ。
目の前にあるものを大切に、できるだけ吸収し、貴重な時間を味わいたい。
南アフリカの作家ベッシー・ヘッド(1937-1986)の紹介をライフワークとしています。
(詳しくはこちら)
■作品の翻訳出版に向けて奔走しています。
■作家ベッシー・ヘッドについてnoteで発信しています。
⇒ note「ベッシー・ヘッドとアフリカと」
⇒ note「雨雲のタイプライター|ベッシー・ヘッドの言葉たち」
==
■ Amelia Oriental Dance (Facebookpage)
■ 『心と身体を温めるリラックス・ベリーダンス』
■ Rupurara Moonアフリカンビーズ&クラフト
↓更新通知が届きます
このコンサル仕事の出張は簡単に言うと中小企業支援関係で、対象国は複数にわたる。
この先も数回続く予定だ。
今は、北マケドニアのスコピエのカフェに座っている。
日中は真夏のように暑いスコピエだがオープンテラスのカフェで多くのひとがリラックスし、季節を楽しんでいる。
この1ヶ月近く、ボスニア・ヘルツェゴビナ(ボスニア連邦とスルプスカ共和国の二つ)、北マケドニア、モンテネグロ、セルビアを周り、再び北マケドニアに戻ってきた。
今回の出張はここが最終滞在地で、約一週間仕事をしたのち帰国の予定だ。
本当は、時系列でひとつ一つの出会いと出来事について丁寧に辿っていきたいのだが、当然だが仕事はもちろん移動の慌ただしさも相俟って、しばらく書かずに言葉だけが溜まってしまった。
今、このひと月余りの終盤ということで、心がこれまで感じた無数の思いを一つの物語のようにまとめ始めたような気がして、どうしても各々のディテールよりも先にこのような気持ちを書いてみたくなったのだ。(ちょいと抽象的でごめん)
仕事の中身のことはいつもブログには書かないので(こちらも心動かされること、感動と学びが山盛りだが)、ここでは個人として感じていることのみ。
↑スコピエのアレキサンダー大王。ひたすら大きい。
この辺りの国々はもちろん旧ユーゴスラビア連邦だった地域だ。
現在では国境が引かれているこの地域は、民族的(というよりも宗教色が強いが)な複雑さもまだうちに抱えている。
ユーゴスラビア紛争は多くの街を破壊し人々の犠牲を出し、30年が経った今でも爪痕が残っている。
この地に初めて来て多くの人に会ったけれど、それぞれが個人的な記憶としての戦争を心の中に持っているのを感じている。
今では国が分断され、人口も経済規模も小さくなってしまった西バルカン辺りの国々で、印象的だったのは「それでもユーゴスラビア時代の方がよかった」という言葉だ。
この滞在中、仕事関係のひともそうでないひとも本当に多く話をしたが、似たような言葉を複数のひとから聞いたのは意外だった。
現在の不安定な経済、深刻な汚職、労働力の国外流出などの共通の課題を抱えた国々にとっては、たとえユーゴスラビア社会主義連邦時代に多くの不自由を経験してきたとしても、その方が良かったとまで言える状況なのかもしれない。
世界は、進展しているようで後退している部分もあるのか。
ここで生きている人々の言葉や、街の様子、生活の様子に触れてみて初めて、それらの言葉が身に迫ってきたような気さえしている。
来てみなければ知りえなかった感覚だろう。
それでも、この地で出会う人々の親切さ、優しさが身に沁みる。
民族関係(宗教関係)はずっと複雑でくすぶっているけれど、そんな諸々を心に抱えた個人としての人々は本当に優しかった。
人のパーソナルストーリーを聴くことが、わたしはとても好きだ。
個人としてその人はどんなことを経験しどんなことを思い、どんなことに愛情を注いで生きているのか。そういうストーリーを聴くと、引き込まれてしまう。
この出張の間だけでも、直接の仕事相手である対象国のカウンターパート機関はもちろん、現地アシスタントやドライバー、出会った数々のひとと膨大な会話を交わした。
それはどれも貴重で、こんなに人との会話の貴重さを毎日ありがたく感じる日々はなんと贅沢なのだろうと思う。
誰かのストーリーがそれぞれ薄いベールみたいな層のように心に積み重なり、わたしはそれをほんの少しずつ肌から吸収していくことで、自らを豊かにアップグレードしていくような、そんな感覚がずっとある。
人々の言葉、記憶、思い。
美しい風景、街の景色。戦争のあと。
それらすべてから、わたしは何かを吸収し続けてきた気がする。
言葉は限定的で、文字に落とした途端ほんとうに小さな断片となってしまうけれど、それでも何物にも代えがたいこの貴重で豊かなもののほんの少しだけでも、形にできたらと思っている。
移動も多く仕事の議論も難題が多く、体力的にもずいぶん疲れてきてしまったのだけれど、心は豊かになっていく気がして、最後には感謝しか残らない。
そんな気持ちでいる。
そんな個別の話は、これから少しずつ書くとして。
明日から一週間は、今回の出張のクライマックス。
これで今回は一区切りだ。
目の前にあるものを大切に、できるだけ吸収し、貴重な時間を味わいたい。
南アフリカの作家ベッシー・ヘッド(1937-1986)の紹介をライフワークとしています。
(詳しくはこちら)
■作品の翻訳出版に向けて奔走しています。
■作家ベッシー・ヘッドについてnoteで発信しています。
⇒ note「ベッシー・ヘッドとアフリカと」
⇒ note「雨雲のタイプライター|ベッシー・ヘッドの言葉たち」
==
■ Amelia Oriental Dance (Facebookpage)
■ 『心と身体を温めるリラックス・ベリーダンス』
■ Rupurara Moonアフリカンビーズ&クラフト
↓更新通知が届きます
コメント
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。