最近しばらく顔を出していなかった馴染みのカフェに朝からずっと行きたい気がしていたので、昨日は太陽の光が夜に滲んで溶け切る直前の時分に訪ねた。

他のお客さんもいなくなってから閉店まで、いつもの二人の店主と他愛もない会話をする静かな時間なのだ。


オープンして二年弱のお店だが、急遽都合があって移転することとなったそうで、何となく心を巡る色んな思いもあったのか、店主の昔の話を初めて聴いた。

高校生のころからコーヒーが好きで、コーヒーを仕事にして生きていきたいと強く願い、思いだけ先走って自転車で田舎を飛び出して色んなひとに助けられたこと。
そのあと道が開けていって様々な出会いがあり、色んな仕事をしてやがて導かれるようにカフェを開くことになったこと。

わたしは思わず、「NHKの連ドラみたい!!」と目をキラキラさせてしまった。
↑最近NHKオンデマンド観まくっているから

普段、彼はわりと無口な店主なのだが(男性お二人で開いているカフェで、もうお一方は対照的に饒舌(笑))、ときどきコーヒーへの熱い思いをぽつぽつと話してくれる。
そんな話にワクワクして、うざいくらい大絶賛してしまったわたしは「その話、文章化したい!!」と思わず言ってしまった。

だって本当にすごく感動したんだもの!

彼は、ちょっと照れて笑っていたけれど、わたしは本当にそうしたいと思ったのだ。


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あまりプライベートすぎることはこのブログには書かないようにしているのだが、少しだけ書く。

先週、両親と日帰りで仙台に行ったのは、祖母に会いに行くためだった。
95歳になる祖母にしばらく会っていなかったからだ。




ずいぶん年老いた祖母は、もう以前のように昔話を語ることもない。

私が子どものころからずっと、仙台まで会いに行くたびに、箱から大事そうに昔の写真を取り出しては同じ話を繰り返した祖母。
戦時中、中国から幼い兄弟たちを連れてひきあげてきた。
祖母の父親は銀行に勤め、貿易船で世界を旅する仕事もしていた。
祖母は、若かりし頃タイピストとして勤めたモダンな女性で、新聞のコラムに取り上げられたことが自慢だった。

その話を長年何度も聴いていた。いつか書き留めておきたいとも思っていた。


でも。


もう祖母は語らなくなってしまった。

いつもの話だからといい加減に聴いていたわたしの記憶は、曖昧だ。

祖母の心の奥底に、昔の思い出も、孫のわたしや家族のことも、ちゃんと生きているのだと思う。
目の光がそれを語っている。

でもそれらは、言葉という形となってこの世に送り出されることがなくなってしまった。


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語られた言葉は消え、語られることのなかった言葉もやがて消える。

その思いは、いったいどこへ行くのだろう。
誰も読み解いてくれることもなく、誰かが心を動かすこともなく、消えていくだけなのだろうか。


そんなことを思うと、わたしは大好きな人たちの話を書きたいと強く思ったのだ。

祖母の話も、店主の話も。


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思えばわたしは、色んな人に会い、色んな人生の話を聴くのがとても好きなんだな。
そんなことに改めて気づいてしまったのだ。

そして、その言葉たちを文章として書き起こしたい。

わたしが心を動かし、感動し、ワクワクした誰かの物語を。


きっと、そのひとりが作家ベッシー・ヘッドというひとなのだろう。

わたしは、彼女の作品を伝え、人生を語りたい。

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そして、今まであちこちで書いてきた文章のうち、自分で読み返してワクワクするのは、やっぱり誰か好きなひとたちの人生のことなのだ。

そのひとつが、「スナックひとみ」という場所なのだと思う。


夕べカフェから帰り、ずっとそのことばかり考えていた。

このところ、この世を若くして去った身近な人たちのことをよく思い出す。

彼らの人生の欠片を、もしかしたらわたしが文章にして残すことができたかもしれない。
そんなことを思ったりしながら、いつか語られた言葉の断片たちの記憶を、心の奥でなぞるように探る。


そして、身近に生きている大切なひとたちのことを、文章としてわたしが魂を込めて書いておきたい。
ささやかなことだけれど、そうやって生きていけたらどんなにうれしいだろう。

誰かの人生の欠片をちりばめた文章を書く。


「あなたの話を、書かせてもらえませんか」


そんなことを思った。



===

スナックひとみの過去記事には、そんなわたしのワクワクがたくさん詰まっているのです。



















南アフリカの作家ベッシー・ヘッド(1937-1986)の紹介をライフワークとしています。
(詳しくはこちら)

■作品の翻訳出版に向けて奔走しています。
■作家ベッシー・ヘッドについてnoteで発信しています。
note「ベッシー・ヘッドとアフリカと」
note「雨雲のタイプライター|ベッシー・ヘッドの言葉たち」

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■ 『心と身体を温めるリラックス・ベリーダンス』
■ Rupurara Moonアフリカンビーズ&クラフト
 Rupurara Moon African Beads & Crafts
 



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