高校三年生のとき、合唱コンクールでピアノ伴奏の係になった。

都会のお嬢様学校に通っていて、学校にはピアノや声楽などの高度な教育を受けて音楽が得意で優秀な人たちがたくさんいたのだけれど、その年、そのひとたちはことごとく別のクラスにいたのだ。
だから、唯一、伴奏が出来そうなひとが、なんとなくピアノをやってきてなんとかできるかもレベルのわたしだったのだ。

何とも不安なスタートで、最初から他のクラスとのレベルの差は歴然だった。

それでもだんだんクラスは合唱コンクールに向けて熱を入れていった。

当日、課題曲のアカペラ(キリスト教系だったのでいつも聖歌だった)でバラバラになり、明らかにうまくいかなかった。そのまま、わたしの伴奏で始まった自由曲の「親知らず子知らず」も、伴奏は幸いに間違わなかったけれど(練習ではよく間違った)、出来はどうだったか覚えていない。
今考えると、よくあんなにドラマチックなピアノ曲を演奏できたなと思うけど。(もう弾ける気がしない)

予想通り、わたしのクラスは入賞しなかった。


クラスメイトのひとりが泣いていた。
入賞できなかったことが悔しくて泣いていた。

そのことだけが、いまでも印象に残っている。




子どものころ、バレエの発表会に胸を高鳴らせていた。

この、本番に向かっていく緊張感の高まりやステージの巨大なパワーみたいなものが、わたしは昔から恐いけど好きだったのだと思う。ドキドキしながら、迫り来る本番。
いつも、最終リハで間違い、本番では何かがふっきれてうまくいくというパターンだった。





ステージっていうのは、やっぱり魔物だ。

そして、そこに立ち向かうのはひとりではなくて仲間たちと集結したパワーだ。

ベリーダンスを始めてから、東京で何度も発表会に出させてもらった。
いいことばかりではなくて、苦しくて泣きそうだったことなんてたくさんある。悔しい思いもたくさんした。
それでも、ステージの感動は子どものころの胸の高まりと変わらなかったのかもしれない。




わたしが、出張先のザンビアで偶然にも出会ったアメリカ人のエリザベス。

最初、東京でショーをやらないかと言ったとき、自分がスターになるんじゃない、ソロは踊らない。
そのかわり、皆でシアトリカルベリーダンスをやるんだと彼女は熱弁した。

ダンスをやってきて何がいちばんすばらしかったと思う?とエリザベスはわたしに訊いた。
一緒に作り上げていった仲間たちとの絆でしょう?と。




ニューヨークのステージで活躍してきたエリザベス。
ベリークイーンや一流のベリーダンスレッスンも受けてきた。カンパニーにも参加してきた。

そして、何もないところから、ザンビアという南部アフリカの国にベリーダンスという文化を本当に作り上げ、ザンベリーというカンパニーを築き上げてセンセーションを巻き起こした彼女。

このドラマは、書ききれないくらい深い。そしてダイナミックだ。

グループみんなの人生を変えた。

そして彼女は、10年以上もベリーダンスをやってきて、多少のワークショップ開催やショー出演くらいしかしたことのなかったわたしをも、大きく変えてしまった。

こんな「シークレットガーデン」という大きな舞台に挑戦するなんて、夢にも思わなかったことだ。





まだまだベイビーベリーダンサー(エリザベスはベリー初心者を指してこう呼ぶ)だったザンベリーたちを育てあげ、次の年には隣国のナミビアや南アフリカに連れて行くという大きなプロジェクトをほんとうに実現してしまった。

たぶん、お金もかかるし手間もかかるし大きなチャレンジ過ぎて、わたしが彼女の立場だったら最初からあきらめていたかもしれないことを、ほんとうに実現した。

ザンベリーたちは、驚くほどに成長した。





このエリザベスの強靭な底力は、いったいどこからくるのだろう。

一年の半分、いやほとんどをアフリカを始めとした途上国への出張で過ごす彼女。
それでも、ザンビアでカンパニーをつくりアメリカのアトランタでカンパニーを作り、シアトリカルベリーダンスショーを開催してアメリカ各地からたくさんのカンパニーを集め、数えきれないほどの活躍をしている。

そして、東京でのシークレットガーデンについても、信じられないくらい次から次へと色んなアイディアが出てくる。





すべての出会いに意味があるとわたしは思っているけれど、人生の中で、彼女に出会ったことはひときわ輝くドラマチックなアドベンチャーとなっている。

そう、彼女といるといつもアドベンチャーだ。

でも、実現してしまうのだ。それまでできそうにもないと思っていたことが。ほんとうに。




わたしにとって、「シークレットガーデン」のような大きな舞台を自分でオーガナイズするというのは初めての経験。

たくさん山ほど色んな思いがあるけれど、やりたいことをやることに意味がある。

そして、そのことで誰かとつながり、絆を深め、感動をシェアし、自分も誰かも幸せになっていくとしたら、これほどすばらしいことはなかなかないんじゃないかと思う。



だからこそ、わたしもまたエリザベスや、彼女の魔法にかかって目をキラキラさせて「シークレットガーデン」に胸を高鳴らせている彼女のカンパニーPersicaとともに、熱を注いでいきたいと思う。

(すでに、フィナーレを想像するだけで感動して泣いている笑)

エリザベスに出会った2016年、彼女とウガンダ出張時に再会して「シークレットガーデン」についてたくさん語り合った2017年、そして、この魔法が姿を現す2018年。

すべての時間に、感謝したい。





ちなみに、諸事情あって現在はショー活動が滞っていてレッスンのみ行っているザンベリー。(大人気だからレッスンを受けたい人が絶えずやってくる)

ほんとうに、ほんっとうに毎日エリザベスもわたしも入ってチャットしてる密な関係なんだけれど、実を言うとエリザベスは、アメリカ人ばかりのカンパニーPersicaをアトランタから連れてくるだけでなく、ザンビアや今や各地に散らばってしまったザンベリーを東京に連れてくることを未だにあきらめていない。
(Ameliaはそんなの不可能だと思っていた。まあ、ザンベリーのロシアの子がいちばんやる気だけど)

彼女と一緒に、これからどんな冒険が待ち受けているんだろう。

これだから人生は、わくわくする。




zambelles-with-amelia





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