何年ぶりだろう。
大学に登校することを「登山」と言い、戸塚駅まで降りることを「下山」(例文:そろそろげざる?)と言う明治学院大学横浜校舎。
国際学部在学時からお世話になっているアフリカ研究者ではあまりに有名な勝俣教授のゼミにて、「公開講座」としてお話をさせてもらった。

タイトルは「BOPビジネスを考える〜アフリカでビジネスをすること」。

BOPビジネスをめぐる主な議論と最近の動向、それからBOPビジネスでもフェアトレードでもないけれど、Rupurara Moonの取り組みについて話をさせてもらった。

いちばん知っておいてほしいなと思ったのは、BOPビジネスには明確で万国共通な定義があるわけでもなく、BOPビジネスが「開発のソリューション」であるわけでもないということ。
ただ、年間所得3,000ドル以下のBOP層を消費者・パートナーとして見る手法があるということ。

でも、大事なのはその「BOP層」にとってはとくに「BOPビジネス」なんていう考え方も「Inclusive Business」という考え方もあるわけではなく、そこにビジネスがあるだけということ。

コーネル大学のStuart Hart教授による「BOP2.0」(BOP層を消費者としてみるのではなくビジネスをともに創造するパートナーとして見る)という議論が出たのは2008年のことだった。
この考え方はとても興味深いと思うけれど、たとえばアフリカの多くの人々(いわゆるBOP層)にしてみれば、これもまた先進国目線なのかなと思う。

結局、答えのない議論だし、万能な手法があるわけでもないものだけれど、試行錯誤して「ほんとうに社会のためになる」ビジネスが成長していけばいいと思う。

勝俣先生からも、BOPビジネスというものが日本で起きる背景についてコメントをいただいた。

昔は援助の世界の中で、ある意味ビジネスに対して蔑視するような風潮があったが、いまでは利益を出す農業をはじめ、「ビジネス」という言葉が援助業界で抵抗なく使われるようになった。

わたしも思うけれど、今でもやっぱり援助業界の中ではビジネスや利益を出すことを若干下に見る風潮はあるし、一方で極端に「ビジネス思考」を信奉するようなひとたちさえ出てきていて、とても混乱している状況だ。

これまで「慈善」という考え方が強かった日本社会においても、途上国ビジネスはいまいちなじまない側面もある。


ただ、ビジネスにベースをおき、新たな市場や価値の創造として途上国に進出しよう(援助・開発という出発点ではなく)という民間企業が増えているのは強く感じられるし、これらがもっと成熟したビジネス手法になっていければ、よりよい社会的効果が生まれると思う。

講義でも引用したが、某有名企業の方と仕事を通じてお話したときに、彼が言っていたことが強く印象に残っている。(=かっこいいと思う)

「社会のために良いことをしていれば、利益はついてくるんですよ」

これは大企業ならではの余裕と自信のあることばかもしれないけれど、これはいわゆる近江商人の「三方良し」にも通じる。

抽象的だけれど、結局自分自身の「軸」(それは生き方みたいなものにも通じる)がぶれていてしっかりしていなければ、どれだけ考えてビジネス戦略を練ってもうまくいかないのではないかと感じている。


講義後、勝俣先生と国際学部のW先生とお食事しながら議論。
それはそれはとっちらかった、範囲の広い、深い議論で、キャパシティ不足のわたしの頭は満杯になった。(で、酒が必要になった)

ゲスト講師なんてえらそうなこと言うけれど、ほんとうにたくさん学ばせていただいているのは自分。このような機会を下さった先生方、まっすぐな質問をぶつけてきてくださった学生さんたち(昔の自分を見るようだわ〜)に感謝。

たくさんの深い議論があったのだけれど、ひとつずつ整理していきたいと思う。
小出しにブログに載せるつもり。


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卒業後13年目。
大学もこんなにおしゃれなカフェテリアができている。


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戸塚駅周辺は大規模な再開発を経てものすごく変わってしまった。


大学時代に好きだった洋食屋アンダンテは移転してたけど健在。

老舗の味に、ほっとした。



さて、Rupurara Moonも新商品アップしますよ。