いまでも、思い出す。
TICAD IIIの前の日、集まっていたアフリカからのNGOとのシンポジウムで、彼らは怒っていた。
いつもTICADの直前になって呼び出され、そのときにはもう議題も何もかもが決まっている。そして市民社会はオブザーバー。これでは、まったく自分たちの意見が反映されないし、いちばん日本の援助の影響を受ける貧困層の声が全く届かない。
TICADにはフォローアップのシステムがない!
外務省のTICADのページを見ると、TICADの成果は「どれだけ国際会議として大きな規模で成功をおさめたか」が書かれている。何人の閣僚を呼んだところで、いちばん大切なはずのアフリカと日本の人々の声が届いていない。これが普通だった。
そして、前回の会議の結果が引き継がれないまま新しいTICADが始まっていた。また同じことの繰り返し。
そんななか、アフリカNGOたちの声に一部の日本のひとたちが応えて始まったのが、TICAD市民社会フォーラムだった。
代表は、大林龍谷大学教授。
よく、大学の先生が始めたNGOだから、なんていう誤解があるが、それは違う。
TICAD市民社会フォーラムは、もともとNGOのネットワークから生まれた。そして、そこには、研究者、コンサル、学生、民間企業、その他NGO、JICA、JBIC、外務省のひとまでもが絡んでいた。
このことは非常に重要だ。
そして、やがて、数々の驚くべき実績を作った。
どこよりも、TICADに関して知見があり情報があったのはTICAD市民社会フォーラムだったと、わたしは断言する。
そして、アフリカNGOたちによるアフリカNGOのネットワーク「アフリカ市民委員会」を、つまり彼らのイニシアティブをファシリテートした。
このことがどれだけ重要かわかるだろうか。
これまで、勝手に外務省が選んだアフリカNGOが突然、内容もすでに決まったTICADに呼ばれていた。しかも、TICAD IVにいたっては、呼んでおきながら最初、本会合への入場パスもほんの少ししか出さなかった。NGOは何十団体とあるのに、「ひとつ」と数えられていたのだ。いままでの数々の対話があったのに。
このことがメディアに大きく取り上げられた。NGOのことは話題になった。
こういう数々の出来事が、これまでの流れを崩しつつあった。
もちろん、わたしもいわゆる「官」の世界で仕事したりもしているけど、我々NGOのことをはっきりと「敵」とまで言うひとだっている。なかなか変わるものではないことは十分わかっている。
でも、五年前と比べてどうだろう。
解散総会には、外務省の国際協力局長や、アフリカ二課の事務官、アフリカ各国の大使などの姿も見えた。
こんなことは、以前は考えられなかったのではないだろうか。
TICAD市民社会フォーラムの成果はサイトに詳しいのでそちらに譲るとして、ともかく、涙が出るほど感慨深い。
そして、ネットワーキング機能、アドボカシー機能、研究機能などはそれぞれ別の形で別の団体に引き継がれていく。
泣いたり、笑ったり、徹夜したり、走り回ったり、怒ったり、憎らしかったり、感動したり、あらゆる手を打とうと皆が努力・奔走した五年間が過ぎ、また新しい時代が始まるのだ。
2004年、小さく始まったTICAD市民社会フォーラム。
広報チームのメンバーで東京のアフリカンレストランに集まりながら、新しい団体のロゴをどれにするか決めた。

これは、じつは、わたしのデザインなんです。
このロゴのもとで、すごくすごく成長した団体。
驚くべきことを成し遂げましたし、これからまだまだたーっくさんの課題があります。
でも、ちょっぴり誇らしい。
やめないで、と色んなひとたちから惜しまれながら、たくさんのドラマが詰め込まれたこのロゴの役目はおしまいです。あふりかくじらとしても、なんだか感慨深い。
ケーキの写真、勝手につかわしてもらっちゃった、ごめん。>事務局
TICADのフォローアップ会議は、今月、来月と予定通りあるみたい。
まだまだこちらの仕事もたくさんあります。
がんばろーう。
↓最後まで読んでくださりサンキューです。



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コメント
コメント一覧
今までの活動お疲れ様でした。
TICADVがあるのか、よくわかりませんが、この活動の成果がまた引きつがれて行きますようにと思っています。
TICAD自体について疑問は多いですが、本当に努力して作りあげてきたものだと思います。NGOのほうも官を批判するだけでなく、お互いに足りない部分は補い合って、協力的なな関係でいけたらいいなっと1国民として思っています。
TCSFはもともとTICAD IVが終わるまでの時限団体としてスタートしたのです。
ネットワークや、シンクタンク機能、白書の発行など、それぞれが別々の形で引き継がれていますよ。
もちろん、官を批判するだけがNGOではありませんから。
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