
日本語でもけっこうたくさんの記事が出ている。また、例によってラジオなどがコンタクトを取ってきている。
世界が注目している。
コレラの流行は3000人を殺している。その数字の大きさ。
なんだろう。そんな中で、何かが心に引っかかる。
ひとつ、心に思い描くのはゴノのことだ。
ジンバブエの中央銀行総裁で、いつもこのような金融政策を発表する。それはたいていサプライズだ。これまで、幾度となく新しい札や、ベアラーチェック(これが紙幣代わりに使用されている)、新しい外貨レート、などなどを突然発表してきた。
とても有名人で明らかに強力な政治力を持っているゴノ総裁。
たぶん、世間一般の中央銀行総裁っていうよりも政治家だ。彼自身は、大統領になろうとか思ってはいないようだけれど、財務大臣に相談もせず金融政策を発表することもあるから相当なひとだ。
エリートで若い。
丸い顔に、きらきらした眼は、実は鋭い。
社交的笑顔を絶やさず、喋りも上手い。つわものの外交団相手に、英国・米国大使に向かって強烈な冗談を飛ばす。それが、何だかんだいっても上手いと思う。
仕事の関係で、彼と直接話をする機会に恵まれたことがある。
中央銀行の中の、とても警備が厳重な会議室のなかで。
彼のオーラは強烈で、笑顔は確固たる何かを持っていて、たとえジンバブエ政府の歪んだ政策であろうとも、それを上手く説明する彼の手腕は相当なものだと思った。
彼はよく、自分の経歴の話をする。
「私は昔、とても低いキャリアからスタートした。メッセンジャーやクリーナーをやっていたんです」
彼は言った。
そのことばにどんな意味があるのだろう。
ジンバブエの政治経済が死んでしまっている今、多くの命がそのせいで失われているいま、彼のことばがことさらに心によみがえる。
バスケット一杯の札束で、パンを買うために半日並んだことが、あるのだろうか。
そういうことを思ったりもする。



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