いやね、びくびくしてたんですよ、ほんとは。

何せ、出てくるブックレビューがほとんど、「アフリカ」=「ネガティブ」っていう感じだったから。暗黒大陸だの、アフリカはヤバイだの。もう、真っ向からアフリカを否定するようなレビューが多くって。

なんだねそりゃ!!
ってずっと思っていたわけです。

で、この著者の朝日新聞連載記事も拝見してたから、正直言って、そのドラマティックな描き方にはちょっと不安を抱いていたのです。

でも、読みました。
松本仁一 著 『アフリカレポート』

アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書 新赤版 1146)
松本 仁一
4004311462


いやあ・・・。

まず、100%ネガティブトーンではなく、色んなポジティブ要素を盛り込もうとされていることはよくわかった。

ジンバブエをはじめ、南ア、アンゴラ、ナイジェリア、スーダンなど、色んな国に入り込んでここまで取材をしてくるのは、やはりジャーナリストの活動力だ。この方は、ベテランだしねぇ。

で、例えば、私にとって身近なのはもちろん、ジンバブエとか南アの抱える問題なのだけれど、それに関してこの本は言うべきことをがっちり言ってくれていると感じた。

政府は腐敗していく。
既得権益にすがる政府は、国を壊す。ほんとうだと思う。
豊かだったジンバブエの農業は一気に崩れ落ち、いまでは経済が崩壊した。
勝俣先生(←くじら、昔からお世話になってマス)のおっしゃる「公の欠如」というのもすごくよくわかる。
政府高官が「自分の得になればいい」という考えに陥りがちなのは、国家の利益という考え方がぼこんと欠落しているからだ。それはもちろん、植民地主義に起因するものでもある。

南アの尋常ではない治安の悪さも、もちろん世界に警告を発するべきだと思う。
わたしも、幸運なことにこれまでは直接危ない目にはあわずにすんでいるけれど、いつ犯罪被害にあってもおかしくないような「空気」はすごく感じる。

ジンバブエ政府のやり方も、ひどいものがある。
そういうものを色々と目の当たりにしてきたし、それらを国際社会に訴えかけるのは必要だと思う。


ただ。思う。

そういうことを書いて、最後にポジティブモードを盛り込んだりしても、やっぱりネガティブな部分(怖いとか、救いようがないとか)ばかりが印象づいてしまい、だからそのようなレビューがたくさん生まれるのだろう。
アフリカのことをほとんどしらない評者たちにしてみれば、そういうイメージを抱いて仕方がない。

だとすれば、メディアのやるべきことって何だろう。

もちろん、ひとつは「アラート」であるのは確かだ。
この地球上で起きている様々な問題に対して警告を発する。それを徹底的に調べる。

だけど、それだけだと、やっぱり一般の日本人の意識は、「アフリカすべてがネガティブ」というところに陥ってしまうのですよ。どうしても。どうしても!

ここまでジンバブエや他のアフリカ諸国の抱える問題について調べて書き上げるのってすごいと思う。
でも、そこから先、どうするの?

やっぱりアフリカは怖いねって言って、一般の日本人の関心がますますなくなっていくのを助長するの?

大切なのは、その次のところだと思うんです。そこを、もっともっとアピールしていかないと、ネガティブ・メディアの悪循環が起きてしまう。

いきなりムガベっていう悪者が現れたからあの国はいまの苦しい状況にあるんじゃない。突然、ANCが治安に気をつかわなくなったからああなったんじゃない。
もちろん、そこのところはちゃんと書かれているけれど、オマケ的に見える。

たくさん出てきてしまった「ネガティブレビュー」を見ればわかるでしょう。


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