TICAD IVを来週(28日〜30日)に控え、ここへきて大問題が発生です。

TNnet事務局であるTICAD市民社会フォーラム(TCSF)が緊急体制で動いています。各メディアなどにも流しましたので、今朝の朝日新聞に載っていました。

こちら → 『TICAD、NGO参加を制限 入場証発行、3枚のみ』

28日から横浜市で開かれる第4回アフリカ開発会議(TICAD)で、外務省が参加登録済みの非政府組織(NGO)に対して、会議への参加を制限する措置をとっている。市民社会を巻き込んで議論するという会議本来の目的とはかけ離れた対応に、関係者の間で批判が出ている。

 外務省などによると、参加予定のNGO関係者85人に対し、外務省が当初発給を決めた全体会合への入場パスは3枚。NGO側が抗議したところ、同省は21日夕になって、6枚に増やした。

 参加を予定しているNGO関係者の内訳は国内の61人とアフリカ諸国の21人、その他の国々から3人。外務省が渡航費を支給して招いた人もいる。

 TICADへの政策提言を目指すアフリカ支援NGOの連絡団体、「TNnet」事務局(東京都)によると、前回(03年)は国内団体だけで10枚、アフリカ諸国の団体に10枚など、海外NGOにはすべてパスが発給された。

 今回の発給数についても同事務局が窓口となり、外務省と協議。今月半ばまで海外NGOの入場を制限する話はなかったという。

 しかし、外務省は今月16日、全体会合のパスについて「国内NGOと海外NGOとをあわせ、3枚発給する」との意向を通知。説明を求めると、「1国際機関に3枚しか出していないので、『NGO』にも全部で3枚となっている」「会場に入れる人数が限られており、これ以上は増やしたくても増やせない」などと回答したという。

 招待を受け、既に来日しているアフリカのNGO関係者は「招かれて来た団体を会議場に入れないのは、ある意味『侮辱』ととらえられても仕方がないと思う」と批判している。外務省アフリカ2課はは「会議場の収容人数もあり、全体会合へのパスはアフリカ諸国の代表団で5枚、国際機関などは3枚。NGOもそれに準じて決めた。我々としては相当の優遇をし、十分に説明もしたつもりだ」としている。


これまで、TICADが始まった1993年当初から、市民団体は外務省や重要なステークホルダーと話をしてきました。TICAD IIIからIVにかけても、その対話は飛躍的な前進を見せ、アフリカ審議官をはじめとした外務省の「上」の方々も「理解」と「協力」を表明しました。

それがこれです。

すべてのNGOをひとつの「国際機関」と考えるなど、言語道断です。
外務省がお金を出して招聘した団体もたくさんあるのです。それらが、本会議への「アクセスパス」すらもらえないと。馬鹿にしています。

いくら上の方が「協力する」と言ったところで、それが実行されなければ何の意味もありません。そしてロジ担当には何も伝わっていない。
ことの重大さも、このことが意味することも、何にも理解できていないということです。

毎回、TICADは回を重ねるたびに外務省の「担当者」は入れ替わり、何一つ引き継ぎがなされていないということです。そして、新たなひとがはいってきてまた話が元に戻る。その繰り返しです。違いますか?
このことが、現にそうですよね。

TNnetは、緊急要望書を出すということで対応しました。
TCSFのサイトから、それを知らせるメルマガ号外の内容が見られます。
→ こちら。

その内容を抜粋します。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■ TICAD IV本番 市民社会アクセス・パスについての緊急要望 ■■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
外務省アフリカ審議官 木寺昌人殿


本番が来週に迫る中、日夜アフリカ開発の課題に取り組んでおられることに
敬意を表します。

5月16日(金)にNGO担当官からTICAD IV本会議場へのアクセス・パス数に
ついて、「全体会合では3枚、分科会については8枚が認められ、これは海外
NGOのパスも含んだ数」との通達を受けました。さらに、5月19日(月)、
アフリカ第二課長の岡田課長より運営委員にご連絡いただき、「一国際機関に
つき、3枚のパスしか出していないので、NGOにも3枚となっている」との
連絡を受けました。

なお、前回TICAD IIIにおきましては、30名の日本NGO代表に対して10枚の
パスが支給された他、アフリカ・国際NGOは全員がパスをもらっています。
TICAD IIIからTICAD IVにいたるまでの5年をかけた長いプロセスに市民社会
は関わり、歴代審議官に市民社会参加は後退しない、と力強いお言葉をいただ
いておりました。

ご承知のとおり、TICAD IV・NGOネットワーク(TNnet)と外務省は、1年間にわたっ
て2ヶ月に1度話し合いを重ね、パス問題も含め議論や調整を深めて参りました。
しかしながら、日本・アフリカ・国際NGOを、一緒にカウントして、「一国際機関」
に準じることも、「3枚のパス」しか発行しないということも、話されたことは
ありませんでした。

私たち、日本の市民社会は、TICAD がアフリカの人びとにもっと知られること、
世界で最も厳しい課題を乗り越えるために奮闘しているアフリカの人びとのそば
にいるアフリカ市民社会のTICADへの参加を広く呼びかけてきました。

今回来日されるNGOの方々は、このような呼びかけに応え、アフリカ各国内で
献身的にTICADの説明を行い、一国に留まらないアフリカ全体の市民社会ネット
ワークを構築しながらTICADプロセスへの参画を実践してきた方々です。
今回の通達は、これらのアフリカ・国際NGOの招待者の大きな失望と大きな
反発を招きつつあります。


そこで、最悪の事態を回避するためにも、以下要望いたします。

1. 日本NGOのパス数については、61の日本NGO参加者がいることを踏まえ、
さらには前回より後退しないというお約束に基づき、前回同様10の確保を
お願いいたします。ただし、ホスト国の市民社会の一員として、ある程度
調整することは可能です。

2. アフリカ・国際NGOは、TICAD共催者や日本政府の招待によって来日いた
します。主催者の責任として、これらの海外NGOについては、全員がアクセス・
パスをもてるようお願いいたします。


TNnetは緊急会議を開きながら、この件に対応しています。

いつもいつも、市民社会はレベルの高い話をしています。きっと、突然アフリカ担当に配属された外交官よりもずっと深い知識と経験を持っています。
でも、それらのインプットがまったく重要視されていない。仮に、意識の高いひとが外務省内部にいたとしても、それらがまったく反映されてこないでこのような結果になる。

それが、日本のアフリカ外交の現状なのではないでしょうか。

この問題は、メディアにも取り上げられていますし、海外にも流れています。
このことがまた再び、日本政府の考え方の遅れを批判される格好のネタになってしまうのは避けられません。

せっかく前進したのに、誰か一人の「古い」頭の「偉い人」のひとことで一気に突き落とされる。この繰り返しでした。

まだこの問題は動いています。
本件に関し、市民社会らの要望を真摯に受け止め早急に対処すべきです。
「横浜宣言」のがっかり度にとどまらず、またこんなとこにも大変なミステイクを犯してしまいましたね。
(ちなみに「横浜宣言案」への要望書はこちらで見られます。これも、それまでの対話をまったく反映しない内容でした)

またアップデートします。


にほんブログ村 海外生活ブログ アフリカ情報へ   THE BODY SHOP   

メールマガジン『あふりかくじらの自由時間』『あふりかくじらの自由時間』メールマガジン

あふりかくじらブックシェルフ←オススメ本、集めてみました。