遅ればせながら。(←いつも)

明治学院大学時代からずぅーっとお世話になっている勝俣先生のご著書を拝読。

本書は、1991年に出された『現代アフリカ入門 (岩波新書)』の新しいバージョン。
あれから20年。
アフリカはどう変わったか、変わらなかったのか。

この方のキーワードはいつも「南北問題」だと思う。

南と北の捉え方は、学部生時代に勝俣先生の授業を受けてとても考えさせられた記憶があるけれど、いまでもその文脈で世界を捉えることは重要なことであるとわたしも思う。


とくに、援助は90年代の社会開発からやがて経済開発へと揺り戻しが来ていて、さらにビジネス界を交えたBOPビジネスだインクルーシブ・ビジネスだというところまで来ている。

けれど、アフリカに軸を置いてみたときに、その開発の問題にはやはりいつでも「北」の世界がある。

この本は、ケニア、ジンバブエ、コートジボワール、コンゴ、南ア、セネガルを中心に書かれ、最後にアフリカ大陸全体についてまとめられている。

勝俣先生のすごいところは、発言がいつもものすごくストレートなところだと思う。直接お話ししていてもいつもそう。率直な疑問、ストレートな感想。

そして、アフリカ研究者としてすごいなぁと思うのは、貧困とか飢餓とかいった、ある種誤解を招きそうなキーワードを臆することなく最初に持ち出すところ。

しかも、その理由も、そこに至る社会経済構造も人々の心理も、短い文章の中に盛り込んでいく無駄のなさ。

いつもいつも、たくさんのことを、先生には教わっている。


今月、研究所で久しぶりに先生にお会いした。
相変わらず、ひょろりと長い脚で忙しそうに歩き回っていた。


この本。

とくにジンバブエに関する章の描き方は、とても共感を覚えた。(詳しくはここには書かない。やっぱりちゃんと読んでいただきたいからね)

「残る英国の公約反故のツケ」の項目。

(あふりかくじら注:1979年ジンバブエ独立前夜のランカスター会議で、英国はジンバブエの土地問題への資金援助を約束しているが、ブレア政権はこれを打ち切った。その後、複雑な要因があってジンバブエ政府による農地の強制収用に移り農業は崩壊していくが、これをムガベ大統領だけの罪であるかのように言うのは、本質的なところを見失っているに他ならない)

それにしても、最後のまとめの章を読んで思ったが、かつてのジンバブエの製造業は非常に進んでいて、ジンバブエは農業国家でもあり、また日用品、食品加工など、近隣諸国に輸出していた豊かな国。

この国の歴史ひとつとっても、欧米との力関係、経済関係、周辺諸国との関係、独立闘争、アパルトヘイトとの関わり等、複雑な物事があるのだ。

それを、ジンバブエと言えばこんな貧困国家、独裁国家だと思っていました、これについてどう思われますか、などと訊かれてしまうと、正直心の底からがっくりくる。
そしてまた、先進国の多くのひとたちがB〇Cとか欧米のプロパガンダに乗せられているのかと思うと心底うんざりだ。

この世界に生きている限り、物事は一かゼロかじゃない。
そんなことは皆わかっているだろうに、ことに自分の知らない世界のことだとそれを忘れてしまうらしい。


自分の国のことがそうやって先入観で一元的に捉えられてしまったとしたら反発を覚えるだろうに、他の国のことに関しては、多くのひとが感覚を鈍くする。


皆、「南北問題」について考えると良い。



4004314232新・現代アフリカ入門――人々が変える大陸 (岩波新書)
勝俣 誠
岩波書店 2013-04-20

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