遅ればせながら(いつもそうだけど)ヒュー・シンクレア氏の『世界は貧困を食いものにしている』について。

かなり激しい本。

マイクロファイナンスが大好きな方はショックを受け、憤ることでしょう。

この人自身、金融から多くのマイクロファイナンス機関等を渡り歩き、目の当たりにしてきた疑問を検証し、時期を待ってこのように激しい内部告発的な本を書いたのでしょう。

文章もドラマチックなので(英語の特徴かもしれませんが)、かなりなインパクト。相当な覚悟でしょう。

このひとのすべての意見に賛同するわけではないけれど、マイクロファイナンスをめぐるネガティブなストーリーについてはわたしもしっかりと目を向けるべきと感じてきた。

有名な小規模グループ融資は、確かユヌス氏が発明したというわけではないようだったと思うけど、グループの連帯保証で無担保融資をすることが、必ずしもうまく機能するとは限らないというのは、普通に考えればその通りだと思う。

そして、小規模融資を受けた貧困層が、すばらしいビジネスイノベーションを用いて個人事業を拡大し収入向上させるというストーリーも、すっきりとうつくしいけれど、そうそうビジネスマインドに長けたひとばかりではないだろうに、ほとんどの融資が「消費」に消えるというのも、もうすこし多くのひとが認識しておいた方が良いと思う。

どこかちょっと不安だなぁと思ったのは、マイクロファイナンス・ファンドがはやり始めたころ。

もしかしたらもっと古くからあるものもあったのかもしれないけれど、わたしが認識する限りではそのような投資ファンドが増え始めたのはそう遠い昔ではないここ数年のことだったのではないだろうか。

やはり、マイクロファイナンスの貧困削減インパクトへの「うつくしいお話」(その多くは素晴らしき小規模起業家の才能への投資)が独り歩きして、結局は物語を信じた先進国の投資家のお金儲けに利用されているのではないかと、ずっとなんとなくの不快感を持っていた。

もちろん、マイクロファイナンスのSocial Impactを図る試みはたくさん行われているけれど、それはなかなか難しい話だと思う。

マイクロファイナンスで借金の嵩んだインドの女性が自殺したという衝撃的な話は、記憶に新しい。

あと、そもそも論だけれども、マイクロファイナンスは「融資」だけではなくて、貯金、保険等々も重要。
貯金には多くの国で銀行法などの制約があってなかなか実施していないところが多いという話も記憶しているけれど、貧困層にとって貯金はやはり大事なサービス。

業界では有名なStuart Rutherford氏のPortfolios of the Poorはいまでも面白い本だと思うけど、どのようにして貧困層がお金のやりくりをしているのかについて事細かにか調べてある。


でも、これはマイクロファイナンスに限ったことではない。

とかく先進国の人々は、途上国について単純かつうつくしいストーリーを用いて一方的な価値観を押し付けがちで、そして途上国に関して深い知識のない人は、そのようなストーリーを信じやすいから。

もちろんマイクロファイナンスの成功例は無数にあると思うけれど、ファンドなどを通じてうつくしいストーリーをもとに、貧困者への負担を拡大し、ときに自殺に追い込むのだとしたら、やはり何の疑いもなく手を出すべき世界ではない。

誰かの生活と命がかかっていることなのだから、お話はそう単純ではない。


ヒュー・シンクレア氏は、マイクロファイナンスへの投資者、MFIのひと、その他あらゆるグループの人に向けて、それぞれへのメッセージを巻末に載せている。
これがほんとうに具体的で実践的なところも少なくなく、とても面白い試み。

悪口を言いっぱなしじゃないところがいい。

そういう意味で、とくにマイクロファイナンス大好きなひとは、たぶん一読したほうが良い。


この本にまつわるサイト。とても面白い。

Confessions of a Microfinance heretic


世界は貧困を食いものにしている
世界は貧困を食いものにしているヒュー・シンクレア 大田直子

朝日新聞出版 2013-03-29
売り上げランキング : 157569


Amazonで詳しく見る
by G-Tools





ラザフォード氏の本は、いまでは邦訳版があるのだね。

これ、翻訳したかったなぁ。


4622076306最底辺のポートフォリオ ――1日2ドルで暮らすということ
ジョナサン・モーダック スチュアート・ラザフォード ダリル・コリンズ オーランダ・ラトフェン 野上 裕生
みすず書房 2011-12-23

by G-Tools





にほんブログ村 海外生活ブログ アフリカ情報へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

              ↑ ★ いつもありがとう。 ★ ↑


 ☆゚+.☆゚+.☆゚+.☆゚+. Rupurara Moonアフリカンビーズ&クラフト


africanwhaleをフォローしましょう

Facebook "Rrupurara Moon African Beads and Crafts"