実にすてきな感触の本に出会ったと思う。
読むのがもったいなくって、ひとつずつ余韻を残しつつ文字を丁寧に読んだ。

吉田篤弘 著『フィンガーボウルの話のつづき』(新潮文庫)である。
これはいわゆる短篇集なのだが、ひとつひとつの話がキーワードによってゆるく紡がれているイメージが、読み進めるにつれて伝わってくる。そしてそれらは読者の中でひとつのゆるやかな輪になり、大きいくせにささやかなストーリーになる。

どこか不思議な日常と、肩肘を張らないひとびとの存在。そこへ、ビートルズの"The White Album"がそれらをリンクする。

"Continuing Story of Bungalow Bill"から"While My Guitar Gently Weeps"まで、緩やかにつながるその真っ白いジャケットのアルバム。(弟1に質問したらすぐ出てきた)

謎解きのようで謎解きでない。
でも、読後に何かわかったような気にさせてくれる本である。
何より、彼の使ういくつかのキーワード、食堂、ホワイトアルバム、ラジオ、レインコート、etc.etc.がわたしにはたまらない。
男性の書く文章には、ほんとうにたまにこういった「程よい重さ」のものがある。


ひさしぶりに良い本にめぐり合ったように思う。


『フィンガーボウルの話のつづき』

『フィンガーボウルの話のつづき』


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