『博士の愛した数式』が非常に流行っているらしく、色々なところでタイトルを目にする。
わたしはたまたま気に入って、本屋さんで文庫本を手に取ったのだけれど、映画は観ていない。どうなのかな。ともかく、これはわたしのお気に入り。

わたしがアマゾンに書いたレビュー
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「数字のうつくしさに心ひかれる」

完成度の高い物語であり、かつ余計なひねりを加えないところ、家政婦紹介組合など現実的なものが出てくるところが余計に作品の味わいを増す。

ここまで数字について徹底的に調べ上げ、うつくしさを引き出すという作業は並大抵のものではないだろうし、そこに敬意を表したい。
数字が苦手だが、数学のうつくしさにはひかれていた高校時代の自分を思い出した。

記憶については、あまりにも哀しく、そんな博士の朝を想像してみた。<思い出装置>がついていない哀しさについて。思い出や懐かしさはときに我々を苦しめるが、それを他人と共有したりそこに浸ったりすることもできる。それが欠落するということについて、この作品は深く考え込ませる。