b47ee65d.jpgハラレにおける文化の日。
本日くじらは休日なのである。

この住処は少し変わっている。周囲にはジーサンバーサンばかりが住んでいる。それも、ほとんど9割近くはイギリス系およびアイルランド系の白人である。

周囲は塀に囲まれ、南仏のようにこぎれいな建物をならべた大きなコンプレックスなのである。門では、セキュリティガードが24時間管理。中にはコミュニティセンターのほかに、レストラン、バー、病院、薬屋、プール、テニスコート、などなどの設備が整い、池があってほとりには老人ベンチがある。庭はいつもうつくしい花が咲き乱れ、ちいさな白い愛玩犬が、ぬいぐるみのような身体でもこもこと走りまわっている。

リタイアメント・ホームなのだ。
くじらは30歳前にして老人ホーム入りなのである。
もちろん、いわゆる老人ホームではなくて、ごく普通のガーデンフラットがならんでいるだけではあるが。

ここでの生活は始まって一ヶ月と少しではあるが、ジンバブエという国のひとつの側面を見るとき、ここの特殊な生活環境は非常に勉強になるということがわかった。古き良きローデシアに生きた、この国以外に帰る場所のないひとたち。そして、政府の土地強制収用により農地を奪われたひとたちなのである。

いつも灯りがともるあたたかいバーは、ヨーロッパの雰囲気そのまま。
南部アフリカの白人社会。
ひとびとは親切だ。くじらは、若い女の子(!)なのでかわいがられる。
生きた歴史の教科書。ひとりひとりの人生。


休日、勉強しようと思い論文を広げて、おもむろに『海辺のカフカ』を読み始め、一気に上巻を片付けてしまった。村上春樹については、語りつくせないので、語り始めないようにしよう。いつものように、頭が少し混乱した。心が乱された。

日本語の本をむさぼり読むシーズンにいる自分。
とりあえず、今週は『月と六ペンス』も片付けてしまったし。ますます心が乱されるばかり。頭が変になりそう。

身体の中の、物書きの血が強く反応している。麻痺したようで、すこし苦しくて、頭がおかしくって、そして気持ちよくもある。

かなり危ない感じ。